米国国立標準技術研究所(NIST)主催のワークショップ「Standards and Performance Metrics for On-Road Autonomous Vehicles」において、人工知能(AI)パネルに参加することができ、光栄に思っています。パネルは、ミシシッピ州立大学、カリフォルニア大学アーバイン校、Robotic Research、Toyota Research Institute、Cruise、Applied Intuitionから代表される政府、大学、業界の専門家で構成されていました。これらの主要なステークホルダーは、業界の発展に伴いますます重要になるトピックである道路上での自動運転システム(AV)のための人工知能(AI)と、自動運転技術の信頼をいかに築くかについて議論しました。
パネルディスカッションでは、標準化された相互運用可能なテスト基準の必要性に関する見解を共有した上で、自動運転車両にとってのセキュリティとレジリエンスの意味、また現在のテスト手法とのギャップについて討論しました。以下は、自動運転車両のための標準およびテスト方法に関するパネルディスカッションの要約です。
NISTワークショップの成果
シナリオの頻度と深刻度に基づいたテストの優先順位付け
Cruise社のロボット部門責任者であるHussein Mehanna氏によると、自動運転プログラムが100%のテストカバレッジを目指すのは現実的ではないといいます。自動運転プログラムでは、実世界で起こりうるすべてのシナリオを網羅することは現実的ではなく、最も深刻なシナリオの多くは非常に起こりにくいものであるといいます。したがって、自動運転プログラムでは、最も頻繁に発生する事象と最も深刻な事象を組み合わせて検討する必要があるとのことです。
また、特に複雑性の高い環境で運用する場合、自動運転プログラムは平均値を見るのではなく、個々のエラーを分析する必要があるとも指摘しています。
ロングテールをテストするために複数の手法の組み合わせを使用する
Applied Intuition社の製品責任者であるVijay Patnaik氏は、自動運転プログラムが、頻度は低いが潜在的に深刻度の高いシナリオをテストするために活用できるさまざまな手法を説明しました。最初の手法は、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)などのハザード分析手法を用いた伝統的な手法です。
2つ目の手法は、バーチャルテストです。バーチャルテストでは、自動運転プログラムが、公道でのテストでは遭遇しないようなロングテールのシナリオを取り上げ、それをシミュレーションで再現します。例えば、高速道路上のがれきなどです。そして、これらのシナリオで自動運転システムをテストするためにシミュレーションを使用することができます。
3つ目は、自動運転プログラムが専用のテストコースで自動運転システムをテストし、それをもとに衝突回避のシナリオを再現する方法です。しかし、すべてのシナリオに対応できる自動運転車両はなく、一定程度のリスクが残ります。そのため、どのようなシナリオがあり、どのようなリスクがあるのか、そのリスクをどのように軽減するのか、人間が同じ状況に直面したときと比較して自動運転車両の性能はどうなのか、などを慎重に分析する必要があります。
自動運転システムの安全性をそれに代わるものの安全性と比較する
Robotic Research社CEOのAlberto Lacaze氏は、自動運転プログラムは、自動運転システムが安全かどうかを問うべきなのか、それとも代わりにシステムがそれに代わるものより安全かどうかを探るべきなのか、と疑問を呈した。
「安全性の閾値があり、それは自動運転システムができることの良いガイドラインとなります。しかし、さらにプログラムはそのシステムが総合的な尺度で平均的な人間よりも優れているかどうかを見る必要があります。」
このアプローチは、平均的なケースだけでなく、異常な状況も含める必要があります。NISTのような組織と自動運転システムコミュニティーの議論は、自動運転プログラムがこの複雑な分析に対応するのに役立ちます。
Applied Intuition の取り組み
Applied Intuitionは、自動運転システムを安全に開発、テスト、導入するには、データ駆動型の継続的な検証・妥当性確認(V&V)が重要であると考えています。自動運転プログラムでは、Validation Toolset*のような製品を活用し、要件とテストケースの管理、拡張性のあるテスト生成、セーフティケースのレポートと分析が可能です(図1)。
当社の製品がどのようにリスクを軽減し、安全な自動運転システムの開発を促進するのか、Validation Toolsetチームにご相談ください。
*注:Validation Toolsetは以前はBasisと呼ばれていました。